oldboy-elegy のブログ

ずいぶん長きにわたりグータラな人生を送ってきたもんです。これからもきっとこうでしょう、ハイ。

(雑感・雑記帳 NO.5)  他人が見ればクスッと笑えるが、本人にすれば思い出したくもない、しょうもない話。 oldboy-elegy

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アイドルK子君、彼女がいないと我が部は闇、みんなのために出勤簿にハンコを!


  なんとか十か月の長きにわたる新人研修を終えた。
配属は企画部である。
oldboy-elegy君の第一希望通りである。
仕事の内容は企画、宣伝、開発、市場調査 などとなっているが言ってみれば営業部の友軍ではあるが数字的ノルマがあるわけでもない。
これまでのブログをいくらかでも読んでいただいた諸兄はお分かりの事と思うが基本、彼はグータラで出世などとは無縁の存在なのである、ましてや仕事に「燃えて」など、これほど似合わない言葉も彼的には存在しないのである。
口にはのぼせないが、企画部を希望した第一の理由が、さっき言った通り「数字的なノルマ」がない事が第一の理由である、このことは口が裂けても他人に言ってはいけないし、墓場までキーロック状態のまま連れ添わなければならぬとおもっている。(やや
おおげさ)

 
しかし年間の予算はしっかりと決まっていて、その予算で最高の効率と結果を達成することが言えば「ノルマ」なのである。
しかしそこはそれ「稼ぐノルマ」と「使うノルマ」の違いは歴然としている。

 oldboy-elegy君がこの部に配属されて1年くらい経った頃のことである。
予測通りのノープレッシャーサラリーマン生活を謳歌していたのだが、チョットいやな命令が部長より下知されたのである。

 「わたしなんかよりもっと適任者がおるでしょう」と彼、もうすでに、逃げの態勢なのである。

 「同期の営業2課のH君なんか理論派だし、その手の雑誌、よく手にしてるの見ますし」と振ってみた。
いや~、本当に彼なら喜んで参加するだろうとの思いで名を上げたのだが、部長ユックリ首を左右に振り、半分呆れ顔、その上おまけに右手人差し指をoldboy君のまん前まで伸ばし机を2回軽くたたき、次に俺を指さし「ダメ、お前」と無言の圧力。
それだけ同期の連中、それぞれの場所で頑張っていて「戦力」なのである。
一方oldboy-elegy君を見れば「なにやら締まりがなく、ネクタイのノット(結び目)も下がり、毎日が遊園地に来たような雰囲気、きっと上司はそれと感じ、指名したのかもしれない。

 この会社の主力取引銀行である〇〇銀行が「経営学セミナー」なる講座を月1回、年10回ほどいろいろのテーマで開くとの事、毎回有名どころの講師が予定されているらしい。

いよいよもってoldboy-elegy君には苦手この上ないものである。
有名どころと言われても、だれ一人思い浮かばない。
植木等なら喜んで参加させていただく。

 「毎月第三土曜日、10時からお昼ぐらいまで、時には昼食会もあるらしい」とのご宣託、万事休すである。
これだけの事で、彼、もうすでに地球最後の日を迎えたような気分になっている、「ノープレッシャーな安穏な日々」が一変したかのような気分である。

 それに土曜日は隔週半ドン(1時までの勤務)が実施されているのである。
「まあええか、直帰するよー、と電話すればOKやし、しやけどなんか調子が狂うな」と気が重いのである。

 手帳の予定表が隙間もないくらいビッチリ書き込まれていて初めて気分が落ち着く人、一方できるだけ予定を入れないでその日その日、自由に絵を描くのが好きな人、oldboy-elegy君、勿論後者に組みしているのである。

 長い前口上であったが、ここからが「他人が見れば笑えるが、本人にすれば思い出したくもない話」なのである。
何回目かのセミナーが行われる当日、oldboy-elegy君、中之島大川南にあるこの旧財閥系の銀行内のセントラルロード、メインストリートいやプロムナード、まあどうでもいいや、ともかくそんな所をセミナー会場に向かっていた。
天井はやけに高く、柱などはエンタシスがかかり、ここを通る人たちを威圧するのである。
彼、一番不得意とする場所と雰囲気である。
このずっと先の右奥がセミナー会場である、この通路結構幅がある。
対面(といめん)からダークスーツの人達がやってくる。
彼らは押しなべてoldboy-elegy君の通り道を左右に避けるように脇に移動、わざわざ足を止め首(こうべ)を垂れるのである。
彼、こんな場所に知り合いがいるはずもないのだが、そこは日本人、挨拶されたら挨拶で返答するのが道理であり、礼儀と言うものである。

しかしどうも解せない感覚が残る。
そこへ後ろから来た5,6人の集団が早足にoldboy君の脇を塵・芥(ちり・あくた)を払いのけるように、通りすぎて行った。
ここまで来て初めて今の状況に合点がいく彼、最上級の挨拶した人達はなにもoldboy-elegy君に敬意を表したのではないのである。
当然と言えば当然であり当たり前の事であるが、タイミングが良すぎたのである。
彼らはoldboy君の後ろから来た集団に黙礼したのである、とりわけ集団の先頭を行く白髪の老人に向かっての行為なのである。
これも後で聞いた話であるが、その白髪の老人こそが、元財閥系の〇〇銀行を率いる堀〇頭取であったようである。
してみれば俺のあの返礼は何だったのか、「恥ずかしい」よりも「実に自分に腹ただしく間抜け」な気持ちが胸の奥に残ったのは事実である。
「なぜ俺が返礼を、それも確か2度までも・・・」ええーい悔しいの歯噛み状態なのである。

  人は笑うかもしれない話かも知れないが、自分としては「未だに腑に落ちきっていない!!」のである、とくにそのアホさ加減にである。
〇〇銀行の堀〇頭取などどうでも良い事でoldboy君にとって「うちの課長ほどの値打ちもあるものでもなし」ぐらいにしか思っていないのである。
何故なら今も鮮明にこうして記憶していることだけ考えてもあほらしいのである。
oldboy君、もう一つ社会的ヒエラルキーと言うのかステイタスと言うのかが分かっておられないようである。

  タイトルとしての話はここで終わるのだが、もう一つこのブログの目的(だいぶに大げさな表現)は1970年代の労働環境や世事、世評の事も伝えると何処かで書いた覚えがある。
ただここで記事にした事が当時の社会全般に当てはまるのかと言えばそれも一概には言えないと思うがさあどうであろう。
 
 会社業態から言えば、この会社中小企業に分類される。
配属先は本社で営業を中心に120~30人位の編成である。

 まず、出勤のためのタイムカードがない、ただし出勤簿なるものがあり、少々の遅刻なら途中、公衆電話からでも報告しておけばOKである。
三文判を部員全部が彼女ケイ子君に預けている、勿論部長も課長も例外ではない。
2019年の現在、「出勤簿に押印・連絡さえすればOK」などユルユル状態の会社なんて存在するのだろうか。

 タイトル画像は当部のアイドル、ケイ子君である。

●イラスト画像のケイ子君、スーツのようであるが実際は白のシャツに濃紺のジャンパースカートがユニホームであった。
おしゃれ要素は白いシャツのリボンかな、細い紐状のものから大きなモンシロチョウを連想するものまでいろいろ。

 あらゆることに対応していただいている。
今なら「なんでもや」と評されある意味蔑みの対象に思われ、自分でもそう感じている人も多いのではあるまいか。
 朝の出勤時のお客さんへの直行連絡や用事などをメモした付箋を机に貼るなど、彼女が多くをこなしてくれている。
oldboy君など、お客との面談のおり、きちっと締めることのないネクタイを指さし、無言で「ネクタイ、ネクタイ」と注意もされる。
すこし大仰に言えば「部全体の潤滑油であり」「皆が頼りにしている」アイドルである。
なにより良いのは、彼女自身がその事を知っていて、楽しくやっていることである。

 この会社、営業職でも30分づつの計算で超過勤務となり給料に反映されるのである。
ただし直接の上司に申告が必要であり、その残業内容を正される事もあり、拒否されることもある。
おまけに5時半くらいには、総務部の担当者が全館を見廻り、届出なしの残業者がいないかをチェックして回るのである。

 oldboy-elegy君、特別感心したこともない、これが当たり前のこととして存在していたのである。
ただ一つこれだと思ったことがある。
 組合の存在である。
これまで工場など現業部門と本社・支店などの管理部門の組合の上部団体がそれぞれ違っていて、随分苦労したと聞かされたことがある。
長い紆余曲折のあと、上部団体を脱退して、単に企業内組合として再出発したとのことである。

 この結果、会社としては組合の希望を完全無視と言う訳もできないし、これまでよりも近しい関係を築くことが必要となる。
以前のブログで(新人研修のおりの労務課での話)を記事にしたことがあるがそこにもそんな匂いがしないこともない。

 これがoldboy-elrgy君の50年ほど昔の勤務時間の話とアイドルK子君の労働感覚の在り方を記事にしてみた。
狭い範囲の見聞、経験ではあるが、今のこの時代なにが進歩・進化したのか彼には分からない。

 彼、今なら意識の低いハラスメント社員に分類されるんだろうなー、「クワバラ・クワバラ」

 
                了

                                            By    oldboy-elegy



 下のリンク記事はoldboy-elegy君の研修中の出来事を書いたものである。
現業部門(工場)の労務課で経験した事。
興味ある人には今日の記事と合わせて見ていただくのも一興かと思う。

 

 

 

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