oldboy-elegy のブログ

ずいぶん長きにわたりグータラな人生を送ってきたもんです。これからもきっとこうでしょう、ハイ。

(雑感・雑記帳 No.9) ラグビーW杯のoldboy君的、独断と偏見による総括・そしてそこから見える日本文化論

 

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 oldboy-elegy君、前回、(雑感・雑記帳 No.8)ラグビーを真ん中に・・・・での記事を書き公開しました。
そのブログは当記事最下段に、リンク貼り付けしましたので、よろしければ併せて目を通していただけたら幸いです。


 今日はその時の内容を受け、大会を終えた今、いつも通り「独断と偏見」満載で記事化しました。

 ラグビーW杯・日本大会が11月2日をもって全日程(約1.5か月)を終え、
優勝は南アフリカ、準優勝はイングランドで日本は初の一次リーグ・プールAを強豪アイルランドスコットランドなどを破り、首位で突破と言う偉業を成し遂げましたが、ベスト8(トーナメント戦)では優勝した南アフリカに26-3のスコア、ノートライで敗れます。


 スポーツ新聞や大方の報道は日本のベスト8での敗退を非常に残念なものとしていますが(世間のあり様としては当然と言えば当然なのですが)、oldboy君は少し違った見方をしていました。


 「もうこの辺りで、敗れても良し、敢えて極論するなら、完敗ならなおの事よしぐらいの気持ちでテレビ観戦していたのです


 物事を成就するには、何事にも順序、段階が必要だと考えるのですがどうでしょう。
特にこのスポーツ(ラグビー)はまぐれ勝ち(fluke)が非常に少ない事で知られています。
ほぼ同等の力関係にあるチーム同士が対戦するなら、Aが勝ったりBが勝ったりすることはよくある事ですが、明らかに格下とされるチームが最上位にランクするチームに勝利するのは殆んどないのが、このスポーツの特徴かもしれません。
この意味では前回のW杯で日本が今回優勝した南アフリカに勝利したのは、異例中の異例の事でした。


 今回の大会でも、オールブラックス(ニュージランド)が(スプリングボックス南アフリカに敗れたとは言え3位なのですから、次での対戦はどうなるか分かりません。

 ただ日本が、W杯や他の国際試合でベスト8を堅持するのも難しいかも知れません。
それでも日本は簡単に勝てるチームではないと言う、印象を与えた事は間違いのないところです。
この地位をまず盤石にすることが向こう4年、8年かかるかも知れません。
もしここで、間違って優勝や準優勝するような事が起こるなら、そこに到達する険しく苦しい過程が抜け落ち、安く軽いものになりかねないものになってしまう気がしたのです。
日本のラグビー関係者のみならず、社会的にも。

 日本のラグビーの歴史は他国に比べてもそう劣るものではありません。
折角、ラグビーというスポーツを今回初めて見て「面白い」「ルールもある程度分かってきた」などの初心者も含めて多くの人がこの球技を認知する事からの出発と捉えて、しっかりと歩んで欲しいのです。

 oldboy-elegy君、そう言う意味で冒頭で「この辺で敗れても良し」と、呟いていたのですが理解して頂けたでしょうか?

 プール戦が始まり初戦のロシア戦に30-10と勝利、このころのテレビ視聴者の反応。

●1「案外つよいやん」
●2「ルールよう判らんわ、ごっついオッサンがごちゃごちゃ喧嘩しとるみたい」
●3「アメフトみたいにボールなんで前に投げたらだめなの」
●4「日本人殆んどおらへん、これ日本チーム」
●5「実況アナウンサーがジャパン、ジャパンとウザイ、なんで日本て言われへんのや」
●6「たった3年日本に居住しただけで、代表になれるんだ、こんなの日本チームと言われんやろ」

 概ね、ラグビーと言うスポーツの基本的ルールの理解が、進みだした事と、それに対する疑問など、選手たちの名前や風貌がチーム・ジャパンと呼ぶにはあまりに違和感があり、これに馴染めず、拒否反応を起こす人の二つに大別されたように思います。
ただ、ラグビーと言うスポーツが、野球のように毎日でもやれる競技ではなかった事が良かったと思っています。
例えば日本の場合、最初のロシア戦が9月20日、pool戦最終の4戦目スコットランド戦が10月13日で初戦から24日目でほぼ六日間で1試合のペースである。
この1週間の間が利用され、あらゆる媒体(新聞、テレビ、ネット)などが他の会場の試合や、ラグビーの基本的情報(ルール・ラグビーの精神性・チームの特性・各選手のステイタス)も同時に大量に拡散されだしたのです。

●1 例えば、「ノーサイド精神」試合が終われば、「こちらのsideも敵のsideも」 関係なし、つまり「ノーサイド」、実際には「full time フルタイム」と言われるが、「ノーサイド精神」は脈々と今も流れている。
●2 ラグビーは素人目には15人×2チーム、30人が1個の何処に転がるか分らぬ楕円ボールめかげて乱闘中に見える、しかし実は繊細にして細かい分担があり、それぞれがこの分担を忠実に実行して「勝利」が見えてくるのである。
例えば、前3人は「太っちょ」で力持ち、4、5番はスクラム時、前を支え、ラインアウトではジャンパー(飛び上がる人)を務める、一番後ろの15番は防御ラインの最後のかなめ、等々。
そこで生まれた言葉が 「one for all , all for one」つまり「一人はみんなのために、みんなは一つの目的のために」である。
この言葉を社訓に掲げる企業も結構あると聞く。
●3 ネイティブで日本人、田村優君、5歳で帰化した松下幸太郎君、韓国国籍の具智元君、大阪弁の上手い?帰化組のトンプソン・ルークさん、他多種多様な人達が代表として参集しておられるのです。
●4 代表資格条件は幾つかあるのだが「当該国に3年以上居住」など緩っぽい感があるが、これらを制約する厳しい・しばり・が存在するのです。(2020年から5年以上に変更)
それは、「一度ある国の代表としてプレーしたら、その当該国以外の国では国家代表になることを、禁止しているのです。
そう、一度でもどこかの国のナショナル・チームでプレーすれば、その後他の国の代表にはなれないのです、たとえ自分の生まれ育った国であっても。
そのため、当該国の代表になりプレーするのは生涯で1チームしかありません、その国の人々や文化を愛してなくては決断できません。
それは自分自身の青春の全てを賭けるほどの「決心」が要求されるのです。
これらの代表への制約とプライドがなければ、ゲームでの真のファイトなど出来るものではありません。
このことはジャパン(ブレイブ・ブロッサムズ)だけではなく、20チーム全てが同じ思いのはずです。

 以上のようなゲーム以外のラグビーの精神性やジャパンのチーム、選手個人の情報などが、勝ち進むにつれ大量かつ詳細に発信されていきました。

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 一次リーグの、2回戦、9月28日アイルランド戦、
なんと、このチーム、この時点で世界ランク1位、ベスト8の常連国、ジャパンはどこまで食い下がれるのかが注目、大方の下馬評はジャパン不利となっていました。
そうそう、このアイルランドチームは北アイルランドも含み、この点サッカーとは違うナショナル・マインドがあるようです。

 1次リーグAプール戦でのこのゲーム、19-12(1トライ1ゴールの僅差)で、大方の予想を覆して日本勝利。


 この結果を踏まえて、各種媒体のコメント欄に変化が生じてきたのでした。
このスポーツ、ラグビーに対しての技術的コメント、各ポジションの専門性や、この勝利の意味など肯定的コメントの圧倒的な増加です。
「実況アナウンサーのジャパン、ジャパンの連呼がウザイ」や「外人軍団」、「人種的な不寛容さ」などの書き込みが明らかに減ってきているのです。

 「松島幸太郎くんのヘヤースタイルの事」「帰化しているトンプソン・ルークさんの事」「韓国籍のまま代表入りしている具智元くんの事」「バルアサエリ愛さんの奥さんの事」勿論キャップテン「リーチマイケルさんの事」「ネイティブ日本人・田村くんや福岡君の事」などおおむね肯定的なコメントである。

 世界的には人種的、宗教的、経済的ヒエラルキーに現代は「不寛容」な時代と言われているが、これらの多くのコメントが、国籍、人種、帰化、容貌などに関係なくチームとしての存在に多くが語られたのがoldboy君、嬉しかったのです。

 ゲームとゲームの時間的間隔が長くこれらの肯定的コメントがメディアだけでなく、職場 家庭、学校などのプライベートな空間まで広がり始めたのです。
oldboy-elegyくんも、気の置けない人達と街の喫茶店での会話のネタになったのも良い思い出です。(お前が好きだから無理やり引っ張りこんだのでは、と仰る方もおられようかと思うが、自然の成り行きでした。

 翌月10月5日のサモア戦も、あの重戦車に耐え38-19の完勝。
翌週、Aプール最終戦はこれも強豪のスコットランドとの闘い、台風19号のせいで中止も懸念された中でのゲーム決行でした。
巨大台風19号は各地に風雨、河川の氾濫などによる、人的被害始め甚大な災害をもたらし、ゲームも3試合が中止となりました、(これはラグビーW杯で初の事)。

 ゲームは亡くなった方始め、被災者に対する黙とうから始まりました。
これも、28-21、ワントライ・ワンゴールの僅少差で辛うじての勝利、苦しんで苦しんでのAプール4連勝で首位突破です、もちろんジャパン初の快挙です。

 トーナメント初戦10月20日(ここからは勝ち抜け戦で、準々決勝)は因縁の南アフリカ、前大会で終了間際の逆転トライで勝利した相手です。(この時の映像はユーチューブで視聴可能)
結果3-26 ノートライの完敗でした。
22メートル ラインを超えたのは、前後半通じて2回か3回ぐらいしかなかったように思います。
攻撃も南アの速い出だしとプレッシャーのため殆んど前進出来ないのです、ダブルラインの前をダミーで、内側を多用するのですが「南ア」の的確な防御は破れず、ボールは保持するも横に滑るばかりです。
それでも前半は僅差で追走していたのは秀逸ものです。
後半に入るとラインアウトの破綻と、強力モールに押され始め、あの結果となってしまったのです。

 特筆すべきはこの試合のテレビ中継、総視聴者数が推定で5.500万人、国民の約半数近くが観戦したとのことです。

 この頃になると、視聴者の反応には、当初見られた人種的多様性に対する「否定的、不寛容」なものは少なくなり「良くやった」「本当に楽しめた」「新たな発見」等の「肯定的」コメントが殆んどを占める様になってきたのです。

 ラグビー日本代表の個人の種々のステイタスの形をもう一度見てみよう。
名前は例として入れている。

●1 日本国をもともと国籍にしている選手
 田村、福岡 選手等
●2 両親、曾祖母 の内どちらかが日本人
 松島 選手(幼児期に帰化
●3 帰化
 トンプソン・ルーク、リーチ・マイケル、中島イシレリ選手 等
●4 日本滞在期間3年以上(2020年から5年以上にルール変更)
 具智元(国籍・韓国)等

 以上の内どれか一つクリアーしているなら代表資格条件は有効です。
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 ●4など見ると、なんじゃこれ、「ユル、ユルやんけ」と思われるかも知れないが上記の四つの資格条件を縛り、制約する「各種法律の最上位の憲法みたいな条件」がデンと
存在するのです。
それがこれ
● 他国での代表経歴がない事

この縛りを適用すると●4 の重みと意味が全然違ったものになるのです。
例えば具選手の母国である韓国が対外Aマッチのゲームがあったとしても具選手は招集され、出場することはできません。
ラグビーと言う競技における、肉体的過酷さ、それもプロップ3番はスクラムの要です、これに耐える肉体はそうそう長きに渡り代表チームで活躍するのは難しいものです。
自身の青春の一時期、この日本での代表参加は並大抵の決心の上での決断だったと考えると頭が下がると同時に「ありがとう」の気持ちが口をつきます。
これを「たった3年の滞在で代表」とは絶対言えません。
(実際は中学1年生からの日本滞在実績)

 今度のこのラグビーW杯で感じたのは、意外に「日本人と外国人」「国籍」「帰化」「長期滞在外国人」らに対して「日本人」は思っている以上に「寛容」であるということです。

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近年、公衆電話の設置数が増加しているとの事、停電、電池ぎれの時でも、電話基地局の電源さえあれば通話可能との事


 それではなぜこれらの見た目も、国籍も、多種多様な人達が参集してくれたのでしょう。
ラグビー選手の契約金や俸給はサッカーに比べると「天と地」の開きがあるのにかかわらず。
まず第一に「ラグビーが大好き」なのは当然の事として「この日本の風土、人々、文化を愛していただいているのが理由なのです。
それがあのゲームでの「ファイティング・スピリット」の力の源泉ではないのでしょうか。

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 ここからは、この日本の文化・文明に関して外国人、特に欧米人の人達の関心のあり方などを中心に記述したく思います、もちろんoldboy-elegy君の独断と偏見での記述なのですが。

 この国の文明の先端には「文字通り世界に伍する機器や物」が存在するのですが、同時にこの文明的先端品に周回遅れの機器(ガシェット)も同時に存在する、世界的に見ればやや不思議な現象が存在します。


 例えば、CD・レコード・ガラゲー・紙媒体の本・公衆電話・非キャッシュレスニコニコ現金払い・FAX・そろばん・アーケードゲーム店・など今思いつくままに列挙してみたのですが、まだまだ出て来るでしょう。
公衆電話などはここ最近増える傾向にあると言われているようです。
巨大災害時における通信手段と機能を考えての事らしい。
欧米型合理主義では絶対に存在しない思想かもしれません。
「なぜ、いつ起こるか分からない事に多大のコスト(費用)を払うのか」理解しがたいものに見えてしまうのではないでしょうか。


 先端と時代遅れが同時存在する文明、それらを可能にする社会、それが日本文化の特徴のひとつかも知れない、そう思うのです。
これらの事が未だ有効で意味あるものとして存在する。
従ってoldboy君などは、どうにかこうにかこの日本の片隅で、生存が可能で「まだ生きていても良いよ」と言われているような気がする存在なのです。

 この文化が寺・神社・そこに付随する祭礼や儀式、祭り・天皇即位式の不思議など欧米などの合理主義の観点から見れば、意味が見出せない不合理の極み的存在であるのかもしれません。

 これまで一部の社会学者が興味を持つ対象でしかなかったが、マンガ、アニメなどがその専用の機器とともに多くの外国人読者やファンを生み出している現実があります。
日本史などでも江戸期などoldboyくんなどより博学の外国人の方が大勢おられるのには驚きです。

 現在の文化輸出のもとは、日本独特の「その時代時代の日本人の残余癖」の賜物であるように思うのですが、どうでしょう。
お隣の韓国人のブログコメントなど覗くと「韓国のキャシュレス化90%越え世界一、日本18%未開国」とか「未だに投票所に行き、紙の投票用紙に手書き投票・未開日本」とか日本を揶揄するのに忙しい事です。
ところが、ドイツのキャッシュレス化が日本より低いことを知ると、急にダンマリをきめこむ、oldboy君、これらを読むのが楽しい人なのです。
彼等にとっては「文明」の最先端にいることが誇れる最重要、要件であり、「文化」的視点が殆んど存在しないかのようです。

 文化は積み上げる事は可能だが、日本人はおいそれと、今まで無かったように消せないのである。
日本文化があらゆる方面で残し、積み上げてきたもの(一見意味のないようなものまで)を、ここに来て初めて発信し始めたのです。

 つまり世界的価値観から見れば、日本人の考えや思想は理解しがたいものが多くあるはずです。
これも近年、この残余文化に魅力を感じる一部欧米人が増え、それらを見、体感するために来日する人達が大勢いるのです。
アーケードゲイム、LPレコード,CD,はては高層ビル横の神社・仏閣の撮影、列車・電車の撮り鉄、など日本人が意識しないで残したきた「歴史的残余物」に価値が付きだし
世界的には合理的でないため姿を消したものが、この日本にはたくさんある、それらを見ることで自分たちの心に、ある意味、安らぎと言う「合理性」が生まれる、そのために高価な航空運賃を払ってまで来日するのである。

 外国人から見れば一見、この不合理な精神性を日本人自身が自分達で少しづつではあるが、「一見無価値と思えた日本人的価値観が世界に通用する部分も大いにある」、と自己認識しだしたように思うのだがどうだろう。

 日本人は一見多様性に欠ける、「村社会」のようであると言われるが、今回の「多様性の権化のようなラグビーチーム「ブレイブ・ブロッサムズ」を多くの人が違和感なく心から応援し、誇りに思った事が知れて、oldboy君、本当に嬉しかった。

 これからも、この一見、欧米人及びそれに感化された非西洋人(現代中国人や韓国人)が思う日本の不合理と思われる「残余・残置 社会を文化とする日本」の事を日本人自身が意識して好きにならねばとoldboy-elegy君は考えるのである。


この記事3000字ぐらいでと考えていたのだが、途中でいろいろの想念が去来し、長くなってしまった。
誤字、脱字、意味不明の言葉など満載だと思う。
ゆっくり校正する、お許しを乞う。

               了
            oldboy-elegy

 このたびの記事は先日公開した下記記事を受けてのものです。
目を通していただければ幸いです。

 

 

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