oldboy-elegy (28)①「オネショ癖」のこと ②oldboy君的、性の目覚め どちらも根は同じ・島根県は松江での事であった
oldboy-elegy君、母の手に引かれ、大阪に参上したのは小学1年生の6月か7月
のことであった。
始めての教室はお絵かきの時間であったことを何故か鮮明に記憶している。
大きな模造紙を何枚も教室の床に広げ、ガキンチョ(子供達)が四方から
寄ってたかってクレパスかクレヨンでもってお絵かきの最中であった。
お絵かき道具はそばの女の子が貸してくれたものを使い、自分もこれに参加した。
なにを書いたのかは記憶にない。
※模造紙とは 大判の白い紙。
母は教室の後ろから、ひとりこれを見ていた。
今に思うと、すこしの笑顔と安堵の表情が見て取れたように思うが、
どうだろう。
oldboy-elegyくん、幼稚園の経験はない。
したがって、これが初めての学校体験であり、同時に入学式でもあった。
この記事、ブログを書き始めたころの「oldboy-elegy No3 」を大幅にリライト
して新記事として投稿したものである、
もちろん、基本,内容は変わらないが、構成・読みやすさ、などを中心に変更
さしていただいいる。
今日の記事、2編になっている。
しかしその根は、どちらも6才ごろの島根県は松江市にて、母と二人きりの
生活をしていたころの体験がベースになっている。
①その一つは「オネショ癖」のことで、小学3、4年生ぐらいまで引きずって
いた。
修学旅行も「絶対大丈夫」との確信が持てぬままの情けない「お話」である。
②もう一つは鴎外先生の小説「ヰタ・セクスアリス・性的生活」を恐れ
多くも意識してoldboy-elegy君的、性的目覚めを、「ホンワカ」感覚で
書かしてもらった。
★
①わが幼年期の一場面とオネショ癖のその後
この時代、大阪の市立小学校の修学旅行先は概ね伊勢への一泊旅行であった。
「伊勢参り」「お伊勢さん」と結構慕われていた。
ここで賢明な諸兄諸氏はすでに察して頂けたことと思う。
「一泊」→「旅館」→「布団で寝る」→「おねしょ」である、さあー困った。
旅行に行かずに済むものならそうしたいが、理由が「おねしょが怖い」など言えたものじゃない。
母はすでに察して、「オネショ封じのおふだ持って行くか?」と顔で言ってらっしゃる。
ここで oldboy君がとった策、これしかない、「一晩、寝ずにやり過ごすこと」、結論はこの一択である。
幸い行き先は関西の小学校修学旅行生のメッカ,「けん玉」や「ダルマ落とし」など売る店はどこにでもある。
「けん玉」を買った、とくに理由があるわけでもないが、少し奥が深く退屈しないの ではの思いがあったのかも。
一晩どこかで、これで遊ぶしかない。
その夜,みんなひとしきり騒ぎ,遊んだあと先生がきて「こらもう寝ろ」で終了。
僕 oldboy君 も取りあえず夜具の中。
ここで告白せねばならぬのだが、自分の夜尿症にはある決まった夢が引き金になっている。
実は彼、幼稚園には行っていないし、小学校にも2~3か月遅れぐらいで入学している。
大阪の小学校入学以前、oldboy 君、母に手をひかれ、松江市のどこか(陶器店の倉庫)の2階に間借りし、病院の下働きなどして、親子二人の生計をたてていたようである。
当時彼、父親の顔どころか、その存在さえも知らない。
ありていに言ってしまえば、「成れぬ仲の恋路のはての子のoldboy君」と言う
事だと思う。
勿論こんなこと母に聞けたもんじゃない、母も亡くなり、自身も齢(よわい)
重ねて初めて理解できることである。
この辺のことを書けばキリがない。
これから先のブログに少しずつ挿入はするつもりではいる。
間借りしていた部屋は、結構大きな倉庫の中の2階部分である。
倉庫内には大小、木箱に納まった陶器類が所狭しと通路や棚にならんでいたのを思い出す。
突き当り左側に階段がしつられており、登りきったところのガラス戸を開けると結構広い畳の部屋があった。
印象としては陽光が差し込む明るく清潔な部屋だったと記憶している。
この陶器屋さんの倉庫前に車がやっと通れるぐらいの広くはない地道が左右に通じていて、この道と並行に幅2メートルに満たないどぶ川が流れていた。
新参ものの自分に友達がいるわけでもなく、母のいない昼間は2階の部屋とこの辺りをぶらぶら徘徊するのが日課であった。
アッ、今この瞬間に思い出したことがある。
近所の男の子とコマ回ししたことを、そうそう母が鉄のワッパがついた駒を買ってくれたことも。
そのコマ、自慢じゃないが他の子のそれより少し高いんだ。
そうこの細いどぶ川が母のいない時の彼の、おしっこ用専用のトイレであった。
倉庫内のトイレは階下、階段下にあり、薄暗くあまり行きたくなかった、とくに母のいないときなど。
尿意をもよおすや、2階から駆け降り、広く薄暗い倉庫を駆け抜け、重い両開きの扉を開き、やっとこ、たどり着くドブ川、そう彼、専用の水洗の小用トイレである。
それら、一連の行動の後の、排尿はある意味、至福の瞬間でもあったようだ。
この地(松江)にいる間、この行動の意味はこれ以上でも以下のものでもなかった。
この一連の動作の果ての、おしっこの夢を見る様になったのは、この地を離れて
から始まったようで、父親のいる大阪に来てからのことである。
夢の最後に時折、実際に「オネショ」が付加されだしたのである。
どぶ川の事はこれらにからまった表象であったように思う。
大阪にきて、押しかけ女房はともかく、押しかけ「子持ちのお妾さん」と言う
ことである。
生活はともかくにも、これまでに比べ格段の「安定」をみたのである。
子供こころにも、これらのことに「安穏・安心」を察知し、いくらか気が
緩んだのかも知れない。
こうしたころに、あのどぶ川への{放尿」を夢見、同時に「オネショ癖」が
始まったのである。
さあどうだろう、あの「ユングやフロイト」先生ならこのことを、どう診察されるのか?
お聞きしたいものである。
、
oldboy君、一晩「けん玉」をやっていた訳でもないが、ともかくにも、無事、夜
が明けてくれたことに安堵していた。
① 終わり
★
②鴎外先生の小説「ヰタ・セクスアリス・性的生活」を頭の隅に置き
oldboy-elegy君の性的目覚めを「ホンワカ」と書かせていただいた。
その日は雨だったのかも知れません。
母はいつも通り、病院の下働きの仕事に出かけています。
とうぜん、oldboy-elegy君が一人、部屋に残されているのです。
ここは松江市内の何処かの商店街裏の陶器店の倉庫の2階で、母子の
間借りしている部屋なのです。
敷いたままの布団の上でゴロゴロ、小さなちゃぶ台を机代わりに母が告げた分だけの宿題をイヤイヤやっつけるのが日課でした。
そんなおり階下の倉庫の重い扉が開く音、「oldboyちゃんいる」と自分より二つぐらい年上の早苗ちゃん(仮名)がトントンと上がってきたのです。
そう長くもない頭髪を短いおさげに結っています。
早苗ちゃんはこの陶器店の長女でちょっと先の表通りの店の奥に住んでいます。
彼女はそこを母屋、母屋と呼んでいました。
「なにしてるの?」と彼女。
「ゴロゴロ」と俺。
ちゃぶ台の上の「ひらかな」の練習帳を見て、
「勉強、えらいな」と彼女。
くろめがちの、まなこがキラキラした、いかにも健康そうな娘です。
「うん、さっきばあちゃんにミルクキャラメル買ってもらって、あんたにもあげようと思って。」と早苗ちゃん。
彼女、これまでも何べんかは来たことがあるが、いつも母のいた時だった
ように思う?
この年齢の女の子、自分と2歳も違えばそれこそ天と地の差、何もかもが
圧倒的存在です。
oldboy-elegy君、その存在は感じても、異性としての早苗ちゃんでは
なく単に、大きなオネ―チャンの立ち位置ぐらいのものだったようです。
性にまといつく感覚など、この時は全くもってなかったはずです。
しかし100%そうだといいきれぬ感覚も、心の内の何処かに潜んでいたのも
また真実なのです。
なぜなら母の田舎に帰ったおり、村のはずれの谷川で、なにも付けずの裸で
体を洗っていた娘さん数人を目にしたおりには、ある種、これまで経験した
ことのない、ショックを受けたことがあったのです。
川は、ひざ、程度の流れで、川底は細かな砂でキラキラと陽光を反射して
います。
4~5メートル程度の川幅で、両岸から流れの天井に向かって、黄色の
細身の竹の群生が覆いかぶさって川下にウネウネと続いています。
流れは、1キロもいかぬうちに、太平洋の海原に消えゆく運命にあります。
そんな情景の中での、数人の娘さんたちの裸の姿を見たのです。
「キャー、キヤー」と嬌声の中で、躍動する肢体に、いくら幼年期の
子供と言えども、無関心、無感動であるはずはありません。
このあたりの村々は「火山灰台地・シラスと言う」の上にあり、それぞれ
の家にお風呂はありません。
海岸に出て2キロほど東に、町営の温泉が唯一のお風呂で、それとて当然
いくばくかの、お金がかかるのです。
したがって、夏場で天候が許せば、この清流に委ねることは自然な事なのです。
この事もoldboy-elegy(7)にて「谷底の小川とルノアールの裸婦像」として
記事化している。
しかし今にして思えば、oldboy君の「性的開花」の「前夜」であったことは
否めないのものだったことも真実だったのでしょう。
だって今もって忘れずにこの情景が脳裏から消え去っていない事をみれば
納得のことだと確信できるのです。
oldboy-elegyくん、今から貰えるであろう「ミルクキャラメル」に目がいくばかりです。
黄色の箱を開け薄紙で包んだキャラメル全部をテーブルの上に広げ、それを
均等に分け半分をぼくにとくれる、と言うのです。
当時このようなお菓子は高級品で食べた経験があったのかどうかは思い出せ
ません。
一粒ずつ互いに口にし、「うまいなあ」と顔をあわせるのです。
布団の上でゴロゴロ状態の自分の横に彼女もゴロンと横になり、
「今日あんた川でおしっこしてたでしょ」と顔を俺に近づける早苗ちゃんが
そこにいたのです。
早苗ちゃんの眼(まなこ)は、これまでの柔らかさが消え、oldboy君は、えたいの知れない何かを感じたのは事実だと思うのだが、
それが意味するものを具体的に分からなくとも誰かに言うべきことではないと、理解していたようにも思うのです。
「うん、下の便所狭いしちょっと臭いし、暗い、あんまり好きやない」と自分。
そこに「飴あげる」と新しいのを口に含み、ゴロゴロしている自分の上に覆いか
ぶさり 、彼女の唾ごとミルク飴を口移しにくれたのです。
「だれにも言いなや」とちょっとドスの効いた声。
たったこれだけのことです。
何がどうなったのかは自分にはよく分からなったが、
ただoldboy君、小さな体の内に何かが「はじけた」ように「ゾクッ」としたの
です。
そう、これまで知らなかった「小さく細い戦慄」が背を走ったのは事実です。
ともかくにもoldboy君の性的人生の始まりであったことはずっと後年になり認識したように思うのですが、それも強烈に。
② 終わり
了
oldboy-elegy