oldboy-elegy のブログ

ずいぶん長きにわたりグータラな人生を送ってきたもんです。これからもきっとこうでしょう、ハイ。

oldboy-elegy (45)中学卒業式を前に、坊ちゃん然とした罪のないKを襲おうとしたヤツがいた、的屋の親分の孫の勇吉とこれを阻止した事があった

               ★1
     的屋(てきや)の元締め(親分)の孫の勇吉の存在

「oldboy-elegyくん、おられますか~」と玄関のガラス格子戸の向こうに

男の声が聞こえた。

的屋(てきや)の親分の孫の勇吉なのが、その声音(こわね)で分かったが、
同時に「何故?家に」の疑問もあった。
それほど稀有な事なのである。

彼とは同じ中学校の同学年でクラス違いの間柄である。

 

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傷軟膏(ガマの油
売りの的屋さんで
ある。

こうして刀を抜いた
ところは、ついぞ見
なかった。








ただし、彼、小学校からの「べったん・メンコ」仲間で、いろいろ面倒も

かけた。
数えると、結構長い付き合いになる。


親友かと言われるとチョット?だが、頼れる?友人である事には、変わりがない。

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毎月2回、近くの真宗系の大寺と大寺の間の参詣道に、大きな市(いち)
が立つ
当然この市、子供にとっても格好の遊び場になる。


隣町のガキどもの集団と出くわし、しばしば、イザコザになることがあった。

こんな折、的屋の親分の孫、「勇吉」の名を出すと、静かになり、ことが
荒れずにすんだ。

 

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バナナと卵は当時、病院
見舞いの定番品であった。
ただ不思議なのは、これら両品、物価の優等生でもある、
その単価は今も、そんなに変動はしていないかに感じる。


なぜなら彼の家の稼業が的屋(または香具師)を取り仕切る、
この地の親分なのである。
※的屋(てきや)または香具師(やし)ともいう。縁日などで「露店や
大道芸、小屋掛け、などの商行為をする人達のこと。

もちろん、このことは、ここにいる「ガキ・子供」どもも、衆知のこと。
「彼の風格と言うのか威圧感と言うのか」ただならぬものを感じることがある。
「血は争えぬ」とは、こんなことを言うのだろう。

だが50年後の今では、人気のない通りに「お逮夜市・おたいやいち」
の「のぼり旗」だけが風に
あおられていて、当時の盛況はもうない。

いつだったか、妹と一度、この道筋を歩いたことがある。
「兄ちゃん、この通り、さびれたな」の言葉がでる。
あの時代の喧騒と人達はどこに行ったのだろう。
同時に「勇吉」の消息も知らない。

              ★★2
      中学も卒業式まじかの、ある日の夕方であった。


時節は、中学3年の卒業式を数日後に控えたころの事である。
日はまだ西に落ち切っていない時刻。

玄関を開けると、小さな生垣の脇に、3人がヌウッと、突たっている。
それでも、勇吉はなにやら、はにかんだ表情の中で、後の2人を、ねめながら
「oldboyすまんな、勝手に押しかけてきて、こいつらの話、聞いてやってくれ
へんか」とのこと。

なにやら、深刻な問題でも、とoldboy君、チョット緊張。
「家に上がる?カアチャンしか居いへんし」と誘うが、当然断られ、
すぐ先にある背の高い碑のある、三角公園に移動することに。

ここでも「勇吉」が先に切り出す。
「いやな、お前(oldboy)のクラスのHおるやろ」
「うん、級長のHか?あいつなにかしたん?」と聞きただす。

今、この3人と級長Hくん、とは、あまりにその接点のなさに、意味が
分からない。


Hくんとは俺らのクラスの級長で、何時も、ズボンに筋目がキチンと入って
いるとか、ともかく、俺らと違い、ガサツさが感じられぬ。

ホッタラカシの悪餓鬼(わるがき)の雰囲気はまったくない。
その昔には、こういう体(てい)の子供がクラスに一人、二人必ず存在した
もんである。

言ってみれば、「ぼっちゃん」タイプなのだ。
※ 中学校は公立だったが、服装は自由であった。

その上父親も、✖✖銀行の支店の偉いさん、言ってみれば、「住む世界が違う」
と言うやつである。



考えてみるに、oldboyくんが級長Hに勝てるもの、勉強はもとより、なにも
無かったように思う。
「運動系?」これとて、体格そのものが、俺より上位にあり、ソフトボール
などで遊ぶのを見ても、勝ち目がなさそうである。
あるとすれば「「喧嘩?」、これも、「声を荒げる、彼を見たことがない」
ヤツである。

ある意味、完全無欠に近い人とは、彼のような人を言うのかも知れない。
だがoldboy君がら見るに、このH君、振る舞いに嫌味や偉ぶったところもなく
これが今の彼の自然体であるのを知っている。

どちらかと言えば「好もしい奴」の部類に入る。


               ★★★3
       ただ虫が好かぬと言うだけで標的になったH君

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ここで初めて2人の内の一人が、
「あいつ、卒業式のあと、待ち伏せしていてこましたろと思ッとんや」
とのこと。
※いてこましたろ (河内弁で やっつける の意味)


「それがなんで勇吉がここに、よう判らん?」とoldboyくん。

「こいつらが、おもしろ可笑しく、俺にこの計画のこと、話したんよ」と勇吉。

そこに,二人の内の片方が
「俺、勇吉兄イーとoldboyが、昔からの知り合いなの知りまへんがな、

んだら勇吉さんが、俺が知った以上、oldboyに話を通しておくのが筋ちゃう
か、となり、今、ここにおるちゅう訳でんねん」と。

なぐる原因などなにもない、ただただ「気に入らない」と言うだけのこと。
これでは、級長のH君もたまったものではない。

勇吉「もうすぐやし、気分よう卒業したいわ、しょうもない事でoldboyに,借り
作るのも嫌やしな」

「でもあいつ(級長のH君のこと)ああ見えてもええとこあるんやで」
oldboyくん。

2年のいつの時かの英語の時間、
先公が「うるさい!!お前ら!教室から出ろ!!」と言うことになり、バカ
10人くらい、嬉々(喜んで)として廊下に、ただし教室の後ろの三角だなの中の、
バットやソフトボールを持ちだして、運動場で遊んだことがあったんよ。
※先公(せんこう) 影で先生のことを侮蔑する言葉(河内弁?)

「そんとき、あいつ(E級長)、俺らと一緒に出てきよったワ、単に俺ら
に恰好付けしたんやと、ズット俺、思っとる、俺だって特別仲が良いわけでも
ないが、俺たちとチョット雰囲気は違うけど、あれは
あれで、おもろい奴やで」
とoldboy君。


「どうしてもやらな気がすまんのか」と勇吉が聞くが、二人、なにか煮え
切らぬ。
このタイミングで「やめとけ、やめとけ」と勇吉が畳みかける。

             ★★★★4
    無事、阻止に成功・これも勇吉の御威光があったればこそ

「ただ気にいらんと言うだけで襲うんやったら、かえって後味の悪いことに
なるは、やめとけ、やめとけ」とさらに勇吉がたたみかける。

小さな三角公園の中の、階段の付いたノッポの碑(なんの碑か知らぬ)。
我らがヒソヒソ話、どんな思いで聞いたのか、きっとこれで良かった
のだろう。

級長のHとは、oldboy君ともども、土地の公立の同じ高等学校に入ったが、
このことは彼には一言も言ってない。 


               ★★★★★5
                               あとがき

今日の記事、大阪弁と言おうか、河内弁を多用している。

内容が内容で、どうしてもこうなった、お許しを。

             目薬さしさしの作業である。 

             では今宵もこれで失礼する
              
                 では では

                       了

 下のリンク記事は、当時、賑わった市(イチ)の様子と、そこに溶け込む子供
たちを、面白、可笑しく活写したものである。ぜひ読んでいただきたい。

oldboy-elegy.hateblo.jp