(雑感・雑記帳 NO. 45 )「オワコン」10年ほど昔の、ネット流行語大賞5位・今では、この言葉自体が「オワコン」になり、自己完結したと言う話
★1 はじめに
「お兄ちゃん、そんな言葉、いまごろあんまりはやらんよ」と固定電話
口の向こうで、7才歳下の妹が,侮蔑とまでとは言わないが、あきれ口調で
宣(のたま)う。
「お兄ちゃん」とは、不肖わたしoldoboy-elegy君の事をさす。
最近、ブログ記事から仕入れた「オワコン」なる言葉がある。
とは言っても、書き手の年恰好(としかっこう)も性別も判然と
しない。
左の情けない図画は位牌のつもりである。
亡くなられたのは「オワコン」さんだ。
「オワコン」なるネット用語自体が「終わったコンテンツ」になり、
「オワコン」が「オワコン」になった、と言う。
一時代を象徴した言葉が「死語」となり下がる様子を具現化したものとして
位牌を掲げた。
oldboy君、「オワコン」の「ン」の字と「ソ」が頭の中で混濁し判ら
なくなってしまった。
情けないこと、この上ない。
その言葉とは「オワコン」なるもの。
な~んだそんなものと、皆は言うだろう。
虚勢をはるつもりはないが、以前から見聞きはしていて、そのおよその意味
は察しはついていた。
だが「コン」が何を指すのかは、もうひとつはっきりしていない俺がいる。
「コンサート」「コンプリート」「コンフィデンス」などそれとはなしに、
いろいろ代入してみるが、どれもしっくりこない。
もちろん、「グーグル検索」なる宝刀も存在するが、右手ヒトサシ指一本で
印字する身、そこまでしてまで知りたいとも思わぬ。
この時代、干からびた、oldboy君の頭に流入する言葉は数知れずあるが、
その一つ一つに明確な意味を与え、記憶さす必要も感じない。
ましてや、彼の記憶野を司る脳のシワも、摩耗が進みそれどころではない。
必要としてインプットしたハズの言葉も、ツルンツルンと滑り落ち、忘却
の彼方に飛散する。
長年蓄えた、つまらん記憶をトドメルだけで精一杯の、ご様子である。
★★2
正解はコンテンツ(CONTENTS)だと言う。
なるほどと一瞬思ったが、すぐに???となる。
そう、この言葉、理解するのになかなか厄介なもので、使う場所、使う人達に
よって千変万化(せんぺんばんか)するシロモノ、一筋縄(ひとすじなわ)
でこうだとは決め付にくいものがある。
※千変万化 さまざまに変化すること。
基本的な訳語としては、複数形として「中身・内容・ねた・・」とある。
※グーグル翻訳 と 1985、研究社版、新英和中辞典 から
この「オワコン」なる言葉がもともと存在してたわけでも無い。
そうインターネット上の流行り(はやり)言葉である。
十数年前から使われるようになり、2011年には(ネット流行語大賞)5位
にも選ばれたことがあると言う。
インターネットやパソコンの無い時代では出現しない代物だ。
いま、手元の英和辞典(1985・第五版・研究社)を天眼鏡を使って見て
いる。
まだパソコン、インターネットに侵されていない時代の辞書である。
※天眼鏡(てんがんきょう)凸レンズの拡大鏡
結構な字数での解説はあるが、「オワコン」に通じる言葉は当然存在
しない。
CONTENTの複数形で「書物・文書などの中身」とあり、これが元意で
インターネットが進化するにつけ「映画・テレビ番組、マンガ、アニメ、
ビデオ、ゲーム」などのあらゆる娯楽媒体が「コンテンツ」一字の
基本概念と一体化し、用語の意味の拡大化が行われたのだと思う。
その最隆盛期から、十余年、世は巡り、「オワコン」そのものが、この意味
で「終わったコンテンツ」として、葬り去られようとする今日この頃である
らしい。
★★★3
もちろん、この話、自分より一世代(10年)は若い感覚の妹ぎみからの
ご教授である。
いくら妹でも、彼女へのクレジット無しで、書き、記事化するのは気が引けた。
それ故、記事の冒頭に出てもらい、ある程度のサジェッションをいただいた
ことを告白しておく。
※サジェッション ここでは指示、示唆を言う
結論として「オワコン」とは「ブームも去り、時代が必要としなくなったコン
テンツ」のことで、最近ではその「オワコン」なる言葉自体が「オワコン」
になりつつあると言う、ややこしい話である。
「お兄ちゃんはお兄ちゃんらしく、昔の匂いのする、文章でエエヤン」
と諭される始末。
彼oldboy-elegyくん、もとよりそのつもりであるし、それしか出来ない。
全体的には意味は想定内だが、これで「コン」がはっきりした。
「めでたし、めでたし」と言うことである。
よくよく、思うに、我が妹、高校時代は演劇少女であったことを思い出す。
それも、舞台俳優ではなく、裏方をしながら、シナリオもこなしていたらしい。
一度、京都大学西部講堂脇の広場で、当時の反体制劇団?アングラ劇団、
唐十郎の「状況劇場・テント劇場」へ、妹に請われるままに行ったこと
がある。
演目はたしか「腰巻お仙」でなく「ベンガルの虎」だったはず。
妹の愛読書は?そう思い出した、演劇理論の大著「ベケット全集」で
あった。
因みに、oldboy君、この本、自慢じゃないが一読もしたことはない。
「オワコン」は別にして、ほぼ50年前の話にもつながる。
テント劇場脇のはだか電球の柔らかい光と温もりが何故か残影としてある。
妹には失礼だが、齢(よわい)重ねた兄妹の話でもある。
了
oldboy-elegy