oldboy-elegy のブログ

ずいぶん長きにわたりグータラな人生を送ってきたもんです。これからもきっとこうでしょう、ハイ。

oldboy-elegy(5)この歳になり、初物4連荘、救急車、美人麻酔医、手術(記憶なし)、最後にご入院。

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oldboy-elegy君、この歳になり救急車初乗り体験、ただし記憶にあるのはかすかなサイレンの音のみ

  ぽつぽつと五月雨式にタイピングしている。パソコンの脇に10×5センチにも満たない円筒形の蓋つき透明のプラケースが鎮座しておられる。中には黒光りする石ころ状のものが大小2個、大きいほうは小惑星「りゅうぐう」の形をなんとなく連想する。術名(腹腔鏡下胆嚢摘出術)であるそうな。

 高校時代、下校時、3人組に襲われ下駄で顔面を殴打される、その時、唇の内側を4針縫ったのが唯一ケガらしいケガ、骨折経験もない。
犯人の一人を知っていたが面倒なので知らぬ存ぜぬですませた。
中学時代の知り合いである。
おんながらみであった。

 中学生のおり体育教師にヘッドロックをかまされ、頭に10連発のゲンコを受けた時も、ヒリヒリと、少し熱ぽかったぐらいで済んでいる。
花よ蝶よと(男でもこう言うのかな?)育てられたわけでもない、むしろ真逆で「好きにやんなさいよ」と、言わずもがなの母の雰囲気であった。

  しかし、oldboy-elegy 君、そんな母のことが大好きであった、なにか同志のようにも感じていた。
彼これまで手術も入院加療の経験もなかったのは、ただただ幸運だったにすぎない。

 ここ2,3週間、腹部に鈍痛があり、不快この上ない。
近くのクリニックの先生も、紹介状を書くから「精密検査を」と勧めてくれていた。

 取り合えづ、処方の痛み止めの薬だけですませていたのたが。
先ほどまで胸のあたりに不快な鈍痛を感じていたと思えば、急に胃のあたりに刺し込みが走る。
そうこうするうちに肝臓付近から右わき腹へと「痛み」が運動会をしている。
もうダメ、これ以上辛抱しきれないと観念したのが、夜中の零時過ぎごろの事である。これまでに経験したこともない激痛である。
今朝一番にクリニックへ行き、病院の紹介状をと決断をする。

 ここで、案外効いた?「あほ療法」教えよう、誰も絶対マネするな。
少々オツムの弱い oldboy-elegy君が閃いたのである。
今、俺は腹の痛みに全神経が集中している、それ故その感覚をもっと分散するのが肝要であると。
その結論がこうである。
「熱い熱い風呂に入ろう!」
体の調子が尋常ではない時の考えも又尋常ではない。
(湯の熱さのため痛みが分散され2分の1の減痛は期待できないがせめて1割でも軽減するならメッケもんである)と、大阪弁で言うところのアホくさいほどのバカげた話である。
湯の設定温度は43度、もうめちゃくちゃ、もともと風呂そのものがそんなに好きでもない oldboy-elegy 君、至高の閃きがこれ、ただ読者諸兄はこの窮状がこの人をそうさせているものだと考えていただきたい、幾分かの嘲笑とともに。
あとはこの熱湯に2分、いやもっと5分浸かれば大成功、その間、痛みが割り引かれるはずであろうから。

 「実際、これを実行したの?!」、もちろんやらしていただきました。
「して結果は?」ハイただ2重苦を体験しただけで、効果? 言わずもがなの惨状でした。
明け方の4時ごろ万事休す。
oldboy-elegy 君、ほとんど失神状態。
近所のクリニックが開くまでもう待てぬ。

 痛みの緩急もなくなりただ急々状態で救急車を呼ぶことに。
聞くところ、自分で歩いて自力で救急車に乗ったらしいのだが、記憶にない、ただどこか遠くで救急サイレンが聞こえていたのは憶えている。

 地域の大きな病院のERにて検査、その前に何をされたのか、急に痛みが引き、ボーと夢見こごち、ハスの華は見えなかったし、お釈迦さまもお留守だったのだが、きっと天国に来たのものだと。
あとで聞くと、モルヒネ類の痛み止めをされたらしい。



 もう完全に時間の感覚が無くなり、つぎに意識が少し戻ったのが手術台の上のようである。
なぜなら、寝かされている oldboy-elegy  君の頭頂部方向から「ヌー」と女性の顔がでてきて「麻酔医の~」の言葉が終わらないうちに深い眠りに落ち込んでいった。
40才前後色白でたしかフチなし眼鏡をかけた、いかにもと言う風貌の先生であったのをぼんやりと憶えている。
しかしこの記憶そのものが不完全で架空の事のように思えるのもまた事実である。


 手術室に入ったのが午後2時過ぎごろだったらしい。
麻酔から覚めたのが午後10ごろ。
この間の8時間の睡眠がはたまた不思議な感覚なのだ。
そうもう一度くりかえす、「この不思議な感覚?!」
自分だけが体感?しただけかも、これを一般論として「全身麻酔による睡眠とは」と言うつもりは毛頭ない。
どう表現してよいのか分からないが短い言葉でチャレンジしてみる

 「自分の生(せい)の一部分を切り取られたような気分」、うむ!この言葉しかないなと勝手に納得。
普段7、8時間ぐっすり眠ったあと、「あ~、よく寝た、体調も最高!」とは感じても、なにも人生の()の部分が7,8時間、自分の意識から持ち去られたとは思わないし、思わないよな普通。

 ここでoldboy-elegy 君の頭に閃きが走る。
往々にして彼の閃きは「はずれ」が多いのだが、「これは当たりかも!!」と思わせるものであった。
先に断わっておくが、このかってな推量は(科学的根拠)があるのかもしれないし、多くは「言及」されていて、oldboy 君だけが知らないのかも知れないと。

 「ググればググるほど文章が書けなくなる」と言うのが,「前にも何処かで言った」ことがあるように、oldboy-elegy 君の持論である。
なぜなら文章が知らず知らずのうちに説明くさくなり、その部分が宙に浮いた感覚になってしまうのである。
科学的で論理的なテーマには必要なことであるが、oldboy-elegy君のようないい加減な文には害毒でしかないと勝手に思っている。

 それでは「自分のの部分が切り取られた気分」と先ほど言ったが、この気分はどこから来るのか。

 通常ひとの睡眠とは、仮に7~8時間自然な睡眠をとったとしても、(覚睡)と(非覚睡)を一晩に何度も繰り返しているそうな、つまり脳の働きがオンの状態とオフ状態とを繰り返しているのが(睡眠)の自然なありかたであると。

 そうすると、全身麻酔後の俺の睡眠は自然な人間の睡眠とは違い、(非覚睡)だけの闇(死)の睡眠だったのかもしれない。
そうだきっと「なにか自分の生の一部分を切り取られた」感覚とはきっとこれなんだと確信(自分勝手に)するに至ったのである。

 ともかくも oldboy-elegy 君的には、この一事だけでも大いに意味があったと思うことにしている。

 ここから彼の普段の姿、ちょっとしたイロ付きのoldboy-elegy に変身するのである。

 とにかく麻酔状態から目が覚めた。
あの失神するかのような痛みは消えていた。
痛みはあるにはあるが質的にぜんぜん違ったものである。
手術は内視鏡によるそれで腹部に3~4か所穿ち、大きく開腹したわけでもない。
あたりをキョロキョロ、いくつかの夜間灯や繋がれた医療機器の小さな光やその点滅がみてとれる。
右に大きめのガラス窓があり、その脇の廊下の向こうにはナースセンターが見て取れる、そこでは幾人かの女性看護師さんが立ち働いている。

  ふいに足元の向こうにあったカーテンが勢いよく開く。
「oldboy-elegy さん、醒めた?」と女性の看護師さん。
「いま何時です?」と俺、「もうすぐ10時、よう寝たはったわ」。
この明るい声を聞き、初めて下界に舞い戻ってきたような気がしたoldboy-elegy 君であった。

 「オシッコしたい時してもらってもええんよ」
俺、一瞬事情が呑み込めず(?)の状態。
「おむつしてもらっているんよ」
「?!!!」と俺。
「終わったら、そこのコールボタンで呼んで、すぐ来るから、ああそれに、この部屋、今日、手術終わった男の人専用でナースセンターの横にあるんよ、明日からは入院病棟に移るから」と言いつつカーテンの向こうに。

 (トイレ、オシッコ!!)のこの言葉を聞いたとたん、猛烈にもようしてきた。
そうここで予想もしなかった5番目の(人生の初物)が出現、(おむつでオシッコ)。考えてみれば、いや考えなくとも、今俺がおむつをしていると言うことは誰かが俺におむつをはかせたと言う前段階があるのは自明の理。 

 oldboy-elegy君、ここ何年、いや10年余我が息子が(オシッコ)以外で活躍したことがない、最近は古川柳にある(朝〇や~、小便までのいのちかな~)の状態も恥ずかしながら遠のいている、
いわばほぼ童貞同然の無垢な oldboy-elegy君、半人前の股間を見られたのが病院のベッド、と言う現実が何故か哀しい。
看護師さんにとってもプロとしての仕事の一環、なんの感慨もなく淡々とこなされていることは重々分かっているがそこはそれ!。

 おむつの中にオシッコをする、抵抗があったことは事実だがそれも最初の数秒だけ、抗しがたい生理の現実には勝てるはずもない、すぐに天にも昇る心地良さに変心、ああ我ながらこの言動の不一致といいかげんさにあきれる。

 

してoldboy 君、ベッド脇にぶら下がっているコールベルを排尿の恍惚感の中で静かに押させていただいたのである。

 

                               

  この記事おつむに始まりおむつで終わった、

そしていつもの様にラフのまま投稿したのが午前5時ごろ。

 さきほど救急車のサイレンが遠くで聞こえていた、いや本当にそうである。
はこばれていく人の事が気にかかる、以前より一寸だけ優しくなったような気がする
アッそうそう、タイトルの最後の「初の入院」は単に入院であり、それ以上でもそれ以下でもなかったようである。

 代わりに(おむつ)の項が加わったのでお許しあれ。

 

                  了
             
               oldboy-elegy

 「中学生のおり体育教師にヘッドロックをかまされ、頭におよそ10連発のゲンコを受けた時も、ヒリヒリと、少し熱ぽかったぐらいで済んでいる。」の一文が本記事の始めに出てくる、この顛末の全てが次のブログである。
読んで頂ければ幸いである。

 

 

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