oldboy-elegy のブログ

ずいぶん長きにわたりグータラな人生を送ってきたもんです。これからもきっとこうでしょう、ハイ。

oldboy-elegy (31) ソウル(Seoul)暮色 1・戒厳令下のソウルでのあれやこれや!!・嵐の中の飛行と手荷物検査官の少額ワイロ

 

f:id:oldboy-elegy:20200809150749j:plain実は、この記事、oldboy-elegy君がブログなるものの「右や左・上や下」など、
なにも知らずに書き出したころのリライト版である。

出稿日は(2019・05・19)となっている。






因みに、ブログをやり始めて一月少々のころのものである。

記事数も月3記事ほどで、このペースは今も変わらない。



もともとのタイトルは

 oldboy-elegy (6) 戒厳令下のソウル(Seoul)・たくましきかな韓国
であった。


それがまた、哀しいかな、誰一人として読まれた形跡がないのである。
しょうがなしに、練習を兼ねて、「はてなスターやブックマーク」を
自分
で打ち込んだ寂しい思い出もある。

さて、この1年少々で世の中のあり様が「激変」。

ますます世界的に猛威をふるう、( covid-19  新型コロナウイルス感染症
原因である。

オリンピック東京開催も1年延期となったが、このままだと、来年も心配な
状況である。

oldboy-elegy君の御歳から考えると、ラストチャンスの自国開催のオリンピック
となるだろうに。
   
※因みに covid-19 とは corona virus disease 2019  の下線の部分を繋いだものである。

oldboy君、そのころに比べて、今もそう大きな進歩もないが、ともかく「半歩
いや1歩」は踏み出した感があると自分では思っている。


従ってこの場に「新記事として」さらけるのもバチが当たらないだろうとの
思いから、出稿した。

                 ここより本文
                   ★
ちょっと話が変わるが昨今、外国旅行先を選ぶ際、「言葉が通じるか否かは

重要な要素になるのか?」[行き先国の安全はもとより、衛生的で清潔な環境下
にあるのか?」「スマホ」は簡単につながるのか?」など。自身の日本での生活
がそのまま再現できる場所が良いとされることが多いように思う。

そのうえ、あろうことか、現地に行けば「日本人の友達もたくさんいるし知人
も多い」なんて聞けば言葉がない。

もうやめられた、関西出身の 漫才界の大御所も、中部太平洋のある島が
大層に、お好みだったそうである。
日本国内での権威的ヒエラルキー(序列・階層)を、旅行に行ってまで維持
したかったようである。

ま、それもアリとは思うが、oldboy-elegy 君的には、なにか損をしたような
気分になるのだがどうであろう。

oldboy君は、なにより電話が嫌いである。

もし、出張中に国際電話でもあったなら 解放感や自由感が減じて、
かくれんぼ中、鬼に捕まった気分になる。

彼の会社はここソウルに支店はない。 
したがってテレックスもない。

通常の連絡は電報で、これが一番安価である。
よって、よほどでない限り国際電話が入ることもないのである。


それで彼、なにを言いたいのか?

つまり「言葉も含め、外界から閉ざされたこのボッチ感がある種の
快感であり、生きている感覚につながり、そして妙に落ち着く」ので
ある。これがoldboy君の基本的な体質のようである。


もう一つ、言わせてもらうなら「彼はこの21世紀には存在できない
種類の人かも知れない」と言うことである。

スマートホンで24時間繋がれ、おまけに自分の位置情報など把握
されるなど、まっぴらごめんである。

その昔、ポケットベルなる便利ガジェットが出てきたときなんか「大いに
嘆き悲しんだ」記憶がある。

案の定、彼は今日の状況を直感的にに予見していたのかも知れない

もうおれにはこの世に、「存在する理由」が見当たらないとまで思い
つめたものである。

いま「存在理由」と言う言葉で思い出した事がある。

ドイツ観念論哲学からマルクス、エンゲレスの唯物史観論への橋渡し的
役割を担った人にヘーゲルと言う哲学者がいたが、彼曰く、
「存在するものは合理的である」同時に弁証法的には「合理的なものは
存在する価値がある」
と。、

oldboy-elegy君「俺はこの情報化時代、IT機器を扱う能力も知識もないし、
むしろ嫌っている」と言う事は、これからの時代に生存する合理的な意味が
ないのではないのか?
と。

まあいいや、世間が彼を必要としなくなって久しいし、多くない年金も
「若い人から見れば」不合理の象徴かもしれない。

「ひょっとしたら、俺は自分に合った良い時代に生まれ生きてきたのかも」
と思う事に、いま勝手にした。

世の60、70、80歳代のoldboy-elegyの方たち、日々どのように考え、感じ、
思いをお持ちなのか是非とも知りたいものである。

● 悪天候の中、JAL747 ソウル金浦(キンポ)空港便は飛び立った。

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今、ボーイング・ジャンボジェット747のソウル・金浦空港行きの搭乗口の待合
ロビーにいる。

突然あちらの商社からのお呼び出しなのだ。

L/C (letter of credit・信用状)に書かれた輸出期限を過ぎた商品が2、3日後に
出来上がるので、商品検査及びサインダウンを急ぎ乞う、とのことであった。


おりしも、運悪く?台風並みの低気圧が九州・西海上にあり北上中との予報。

当時、ソウルへの定期便は関西では大阪・伊丹空港からJALの1日1便だけ
だった思うが、もちろん関西国際空港KIX)は存在していない時代のこと
である。

 

ボーイング747は文字どうりジャンボジェットで500席以上の大さを誇る
機種である。

しかしoldboy-elegy君、もうひとつ、この巨大飛行機を信用していない
気持ちがどこかにある。

航空機用の特殊ジュラルミンでできているとはゆえ、鉄やアルミニュウムの
親戚みたいなものである。

それが何の支えもなしにあの巨体が空中に浮かび、なおかつ700Km/h以上の
速さで飛ぶのである。

支えと言う意味で、せめて杖ぐらいついていて欲しいものである。
その結果、大地とつながり、安心感も増す道理である。

oldboy-elegy君には、この巨大機械が物理現象や、自然の営みに反した物に
見える、ましてや自分がその腹中に乗り込むのである。、


さっきから登場ロビーで待っている。

雨も少し降っているようだが、風はここからは分からない。


時折アナウンスがある。
ソウル上空付近はまだ比較的穏やかで、視界も良好と言えないまでも問題
なさそうとのことである。

ロビーは人で一杯であり、床に腰を下ろしている人もいる。
学生服を着た高校生の男女の集団が行儀よく整列し待っているのが見える。

oldboy-君「今日はもう飛ぶな、明日と言う日もある、君子でもないが、
危うい事に近寄らないのが賢明」と思っている。

隣の初老の人が話しかけてくる、強い韓国なまりがある。

「これ今日、飛びまっせ!、絶対に」
朝鮮語なまりの大阪弁である。

俺、「何故わかるのか?」と彼を見た
「今日は満席でキャンセル待ちの客もおるみたいやし」

俺「???」と彼を見る。

「つまりや、今日は飛行機会社にとっては、もうけ日やと、いうことや」
と言いニヤニヤ。
俺 納得顔で彼に向き頷き「なるほど」と。

oldboy-elegy 君、何故か案内を待たずに、出発を確信する。

このやり取りが終わるか終わらないうちにフライト案内と搭乗手続きが
始まる、隣のおっさん、読み通りの結末にまたもニコ、当たったやろの
したり顔。


まあこんな論理で決まったとは思いたくはないが、ともかく出発である。

1時間少々の飛行時間、天候もそんなに急変しないだろうと期待している
自分がいる。

今日のフライトはベルト着用のサインが点灯したまま、急激な気流の変化に
備えてのアナウンスもあり、軽食や飲み物も早めに出てさっと片付けられた
感がある。

客室乗務員もほとんど席に座ったままである。

とちゅう多少のアップダウンはあったが金浦空港着陸まで10分少々との
アナウンスもあり、少し気が緩んだのを待っていたかのように、ふいに
ドターンと機体が急降下、これには前にいる高校生の集団から嬌声や悲鳴
があがる。

そこからがいけない、谷底に落とされたかと思うと、次の瞬間グググと
ゆっくりと上昇気分、その都度学生さんを始めあちこちから「キヤー」
「ギヤー」と、悲鳴が漏れる。

oldboy-elegy君、固く握りしめた手の平に脂汗。
もう大分に下降しているはずだと思うが地上は一向に見えない。

窓から見えるのは主翼下の補助翼(スポイラー)の忙しい動きだけである。

主翼と補助翼の間の隙間を雨粒か雲か霧か分からないものが激しく
流れているのが見える。

おまけに主翼の先っぽが小刻みに揺れている。

エンジン音も低くなったり、少し静かになって、次の瞬間明らかに
出力が上がったりと忙しい。

高校生諸君の悲鳴や嬌声も時折聞こえて来るが、一時より静かに
なっている。
慣れたと言うよりグッタリとしている。

oldboy-elegy君、窓外見ながら少しいやな事を思い出す。
普段の下降時、金浦空港が近づくと窓外前方左側に結構高い
岩山が見えてくるはず。

着陸時、機体はあの「岩山」を右から巻いて滑走路に向かう。

いま窓の外は先ほど同じで左主翼が見えるのみで普段見えるはずの
下界はまったく見えない。

もしあの岩山に当れば終わりである。

そのとたんに何あろう、下界の緑がすぐ足元に見えたのである。
すぐに滑走路が見え、次の瞬間少し荒いがドタドタと無事着地。
ここで客室内、何処からともなく万雷の拍手拍手。

ここで乗務員からのアナウンス、なにごともナッカタように、ソウルの
気象、時間(時差なし)と「またのご利用をお待ちしております」が
すべて。


● 小役人の賄賂も、ある意味社会の潤滑油、腹を立てることもあるまいと?!

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金浦空港でのイミグレーション(入国審査)は当時は結構厳しかったよう
に思う。


なんせ戒厳令下の御国である。
夜中12時から朝の4時までの外出禁止である。

タクシーも走っていない、ただしホテルなどに併設されている社交場は
その間も夜間営業中である。

もちろん12時までに入店したら4時までは出られない。

過去には在日韓国人が大統領の奥さんを射殺した事件もあった。
38度線で対峙する南北の緊張状態も高い。
夜間の結社、集会はもちろん厳禁である。

空港の警備も、拳銃だけならまだしも、肩からライフルを下げている。

当時北朝鮮からのスパイや破壊活動のための越境、侵入もたびたびあった。

oldboy-elegy君も 破壊活動のために侵入したスパイ達の装備品が展示
されているのに出くわしたことがある。

ソウル駅の中央コンコース脇にそれがあった。
インチョン(仁川)の海岸線から侵入したらしい。

エアータンクなどの潜水用具などがあったのを覚えている。
銃などは無かったように思う、もしAK47カラシニコフでもあれば忘れる
はずはなかろうと。

ま、ともかく、政情不安が常態化していたから、イミグレ(入国審査)も
おっつけ厳しくなるのは当然のことであろう。

滞在予定のホテルや、ビジネスの簡単な内容など、通り一遍のことを聞い
てくる。

しかし窓口の机上の下にもう一つ棚があり、ここにブラックリストや顔写真などの
一覧が置かれているらしい。
これとoldboy-elegy君と照合しているのである、およそスパイとは思えぬ
まぬけずらを見て、この検査官なにお思ったろうか。

oldboy-elegy 君 イミグレ(入国審査)も無事通過、機内預けの荷物を引き取る
ためにターンテーブルの脇に立っている。

着替えや、日常必要な身の回り品は段ボール箱に突っ込み常宿にしているホテル
のカウンター裏の部屋に預けている。
 
手荷物は、ちょっとしたお土産や頼まれ品(漢方薬など)がほとんどであるが、
手荷物検査でひっかかった場合のためリストを作りインボイス化してある。

やがて自分の機内預けの荷物がターンテーブルに乗ってやってきた、今回は急な出張
で準備不足のため荷は少なめである、これが有難い、しかし、ゆだん禁物である。


役人の気まぐれには手を焼く、前回はなにげに無理で税関にいったん預けかな、
と思ったものが問題なく通過できたり、今回はたったこれだけ、楽勝と思った
ものが留め置きされたり、と、その基準がさっぱり見えてこないのである。

そのため取りあえず手は打って置いたのである、費用(少額賄賂と飲み代)
がかかるが無難である。

税関で1週間も預ける羽目になったらサンプルや部品や装粧品などが手元に
ない時など、商談ができない場合もある。

ゆえにこのこと(裏金)は「必要悪」で「潤滑油」なんだと思うことに
している。
「飲み会」は商社の連中に任せている、下戸のoldboy君に、務まるわけは
ない。

ターンテーブルから荷物を下ろしボケーとしていたら、向こうから肩章付きの
水色のシャツを着た(必要悪さん)らしき中年のおじさんが何気に近づい
てくる。 

今日の手荷物検査官である、顔に憶えはない。

ひょこひょこやってきて、少し離れて立ち止まり、「oldboyさん」と小声で、
俺「はい」とこれまた小さな声で返答。

するとその方、少し離れた位置のまま、クルリと自分がきた方向にお戻り
なるが、彼の後ろ手に組んだ指が俺に「おいでおいで」をしてござる。

少し間隔が詰まると、後ろ手に組んだ手のひらが「離れて、離れて」
と合図がくる。

あくまでも自然に検査台に近づかねばならない。

検査台そのものは20台近くあり、検査官のおいでおいでにつられ左端に
近いそれに到着である。顎でしゃくられ、目配せされた検査台に並ぶ、
だいたいいつもの場所である。

 

この場所が結構重要なポイントでもある。

検査台のすぐ向こうにKOTRA(コトラ)の空港出帳事務所がある。
韓国貿易振興公社である。

公社とは半官半民の組織ではあるが基本政府組織みたいなものであると
oldboy君は理解している。

そう日本で言うところのJETOROである。

あれにたどり着けば危ないものを所持してない限りこちらの味方である。

やがて順番がきて大小のバッグを検査台にのせる、先ほどの(おいでおいでの
役人)は、すこし離れたところから見ている。

二人の係官が2個のバッグのチャックを勢いよく開き手をバッグに差し入れ、
いかにも「検査」のふりをする。

ものの、10秒もしないうちにOKがでて、検査台の外側に早く出ろと催促
される。

今晩は頼まれ品の配給とは別に今日かかわった人たちへのお礼とちょっとした
宴会である。

もちろん費用は、こちら持ちである。

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空港へは商社の社用車(ポニー)が運転手付きで来てくれてるはずだ。

ちなみに自家用車の運転手の名刺には「運転手」でなく「運転技師
だれだれ」となっている、そんな時代であった。
そう会社付きの運転手は全て「運転技師」でプロなのである。

ここでのプロの意味は日本とは少し違う。
安全運転の概念がすこぶる欠如している。
日ごろ日本で運転しているoldboy-elegy君には、
「いかにアクロバット」運転ができるかが「プロの資格」であるように
見える。

高速道路から一般道への降り口などまさに「運転技師・プロ」の真骨頂で
ある。
数10センチの間隔ですべての車両が出口に一斉に向かい先を争う。

警笛の洪水と、窓を開け隣の車と罵り合うのである。

確かに、日本では「模範ドライバー」であるoldboy-elegy君、ここでは
「運転技師」には絶対になれぬ。

個人持ちの自家用車がまだ少ない時代のことである。

 もう6000字を超えた、取りあえずここまでを「ソウル暮色NO1」として何号まで
このタイトルが続くか見当もつかないが日本では経験できないエピソード、少し
やばいこと、ほろっとすることなどを書いていこうと思う。

なんせ出だしだけは少し考えるがあとは成り行きに任せて書いている。



     では では くれぐれも安全運転を、  おやすみなさい

                                                    了
            oldboy-elegy

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